Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのこうりしょうどう
私の小売商道
相馬 愛蔵
Lesen Sie 私の小売商道 (わたしのこうりしょうどう) von 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.396 Zeichen · 312 Bildschirme
器用貧乏
器用貧乏
器用貧乏……私の店が相当繁昌し出した頃、遠縁に当たる男が店を手伝ってくれていたことがある。この男は何をやらせても一人前、これが出来ぬということのない器用人であった。それで私のやることがまだるっこくて見ていられない。ときおり「大将くらい信用があれば私なら店の売上を倍にして見せる」といっていわゆる髀肉の嘆をもらしてみせたものである。そうして、相変らず遅々としている私にシビレをきらしたというのか店を飛び出して独立旗上をした。ところがそれが幾年もなく失敗してしまったのである。この男の失敗の原因といえば己を過信したからだと思う。いくら実力があってもまた資本があっても信用というものは時期が来なければつかないものである。にもかかわらず、この男はスグに信用が獲得出来ると考えていたところに失敗の原因がある。
当時私がそうした自惚れの心を起こし、森永や明治の向こうを張って一つ資本金一千万円の大会社にしてやろうなどという野心を起こしていたならば、あるいは今日の中村屋はなかったかも知れない、結局私は不器用でいわゆる、馬鹿の一つ覚えで、与えられた日々の仕事につとめて来たことが今日あるを得たものと思っている。