Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
その人と、勾当ノ内侍とは、瞼のうちで、けじめもつかぬほどよく似ている。まだ髪をおろさぬ若後家ごろの草心尼と――。
いや草心尼といえば。つい先頃も彼には妙なことがあった。
摂津の戦場で、兵に捕われて来た旅の母子があり、見ると、それが彼女と覚一だったのだ。
しょせん尊氏は亡びる。尊氏を頼って行っても行くすえ頼む人にはなるまい。自分の陣にいたがよい、と――それはもうむかしの美しさは褪せた尼なので色恋などでなくいたわってやったものだが、無断でいつか見えなくなってしまっていた。おそらくは、以後の戦場にまき込まれたか、路頭に迷っていることだろう。
「……殿。……殿」
湯殿の外の声だった。
「新兵衛か」
「は。新兵衛にございますが」
「いま出る。いますぐ」
「お耳へまでちょっと」
「千種どのが見えたのであろう」
「さようで」
「いいつけておいたように離亭のほうへお通し申しあげておいたろうな」
「はい」
「おひとりか」
「いえ、女性の御方と」
「老女か。お若い方か」
「み車を降りさせ給うたとき、よそながら拝しただけでございますが、花うるしのきらやかな女御車、おん姿といえば、夜目にさえやかなお方のようにぞんじられました」