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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

など、みなお蔭によるものと、もったいのう存じて、ただ朝夕の蔭膳へのみ、一日も早くと、御世のしずもりを祈っているのが、私たちのせめてもな力でしかございませぬ――

などと見え、そのあたりの文字には正成もふと瞼を熱く持ったことだった。しかし彼の後顧の安心と家族への張合いもそれ以外なものではなかった。

正行は母に似て小づくりだった。おもざしも父の自分よりは母御似だとよく他人はいう。

「……十四となったか」

正成はこの正月もついに家郷を見ずにしまったので、いま、妻の手紙を巻きおさめながら、その妻の手塩の愛を――可憐な小冠者姿に隈なく持って――ちょこんと目の前に畏まった正行にどこか急に大人びて来たものすら覚えて、

「……正行、大きくなったな。しかしよう母がそちを手放してよこしたの」

と、男親の幅のひろい目でゆったり眺めた。

正行はかたくなっていた。

だが、恐いからではなく、ふくら雀のように、満足感にみちた姿であったのだ。――それほど、この長い乱世下におかれた武門の家では、子と親とが、或る日を無事で一つにいることも稀れだったからではあった。

「はい。お願いしても、初めなかなか母上のおゆるしが出ませんでした」