Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
襲せてきた武将ばらは、たとえ自決後の首にせよと、みな獲たい心理にかられた。それをひッさげて、尊氏の君前へ実検にそなえる栄だけでも、武門冥加、ほまれだとするらしい、争いだった。
だがもう内の大床は黒煙をこめ、血か炎か、ピラピラ赤いものが眼を射るだけである。そしてわれがちに内へ躍り込んで行った面々も、みな咳声にむせ返ってしまい「――火を消せ。火を消すのが先だッ」とばかり、あらまし濡れ縁から外へとびおり、むらがる兵を督しはじめた。
消火は早かった。なにしろ、兵の数と力である。火勢はおとろえ、黒煙もすぐ薄らいだ。
「よしっ、よかろう!」
待ちかねて、一人の将は、まっ先に堂内へ入って行った。高ノ豊前守(師久)らしい。つづいて赤松円心や細川定禅らの家来もわらわらッと争ッて内へ飛び上がった。
「…………」
だが、彼らは、そこに立つやただ凝然と、大床の紅に身も痺れ心もまったく打たれてしまった。
自刃していた幾十体の亡骸はすべて二列となってその列を乱しもせずにうっぷしていた。多くは割腹したていである。が、なかには刺しちがえて相擁すかのごとき形でことぎれているのもあり、悽惨、目もくらむばかりだが、しかしその一個一個は、自己を国に捧げてくやまぬ犠牲の巌のような死に徹している死顔を持ち、その血を以て、祈りを床に遺書しているような姿