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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

そのとき、末弟の名和悪四郎が何事か息をせいて駈けて来た。

ひどくあわてているらしい末弟の様子である。長年も源盛も共に腰をあげて。

「悪四郎、何が起ったのか」

「どうも面目がありません」

「何がそう面目ない」

「抜かりました」

「とは?」

「土牢へぶち込んでおいた能登ノ介めが、合戦のすきに逃げ失せたのです」

「一人ではできないことだ、たれだ手引きした者は」

「かねがねてまえに恨みをもっていた末吉真吾でした」

「末吉真吾か」

長年は苦笑した。

「ありそうなことではある。とは承知しつつ、ここにおいていたのも長年の落度だった。まあいいじゃないか」

「よくはありません。これで山上の機密は、のこらず寄手にわかってしまいましょう」

「わかっても仔細はない」

「そんな無茶な」

「いや暴言でなくだ。ほんとに、そう大した影響はあるまいよ」

「どうしてです」

「寄手の攻め振りをみると、隠岐ノ判官以下、糟谷、小鴨、赤崎らの手勢、それぞれは烈しく襲って来るが、みな功名の争いに急で結束のつよさはない。……それに日々、山上のお味方は増しているし、一人の能登ノ介などに騒ぐには当らぬよ」

そして長年は、二人の弟へ、