Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
直義は誇った。自分のことばにだんだん魅せられていたのでもある。
そのうえ三河党はみな、彼への心服をみせて彼のさしずを仰いだので、直義はその場で一切の指揮をとった。
すなわち仁木義勝、石堂綱丸、畠山大伍らの各隊は、すぐ鎌倉の二使が泊っている宿所へと駈け向ッて、ふいに夜討の火を放ち、一方、他の三河党はすべて、本陣柳堂の外に軍勢をそろえて、ほとんど強請的に、
「殿、ご発向をねがいまする。すぐさまこの地をお立出で願わしゅう存じます」
と、声々に呼ばわり合った。
「師直っ、師直っ」
すぐ寝所を出ていた高氏は、寝まき姿ではなかった。はや物具着けていたのである。
「殿」
走りよって、師直は早口に云々と、事のわけを告げた。とは聞け、高氏は驚愕に打たれた風でもない。ただ、柳堂の周囲いっぱい、すでに発足準備もすましている軍勢の波打つ闇に、少々あきれ顔ではあった。
「直義は」
その問いに、師直が答えるまも措かず、縁の階下から、兵をかき分けて、
「これにおります」と、姿を見せ、
「兄者、おわびはいずれ、先の途上にてつかまつります。ともあれ、おいそぎを」
「いやあわてるにもおよぶまい。