Japanische Klassiker mit Furigana
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えんむすび
縁結び
泉 鏡花
Lesen Sie 縁結び (えんむすび) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.536 Zeichen · 33 Bildschirme
言を折られて、謙造は溜息した。
「あなた、もし、」
と涙声で、つと、腰を浮かして寄って、火鉢にかけた指の尖が、真白に震えながら、
「その百人一首も焼けてなくなったんでございますか。私、私は、お墓もどこだか存じません。」
と引出して目に当てた襦袢の袖の燃ゆる色も、紅寒き血に見える。
謙造は太息ついて、
「ああ、そうですか、じゃあ里に遣られなすったお娘なんですね。音信不通という風説だったが、そうですか。――いや、」
と言を改めて、
「二十年前の事が、今目の前に見えるようだ。お察し申します。
私も、その頃阿母に別れました。今じゃ父親も居らんのですが、しかしまあ、墓所を知っているだけでも、あなたより増かも知れん。
そうですか。」
また歎息して、
「お墓所もご存じない。」
「はい、何にも知りません。あなたは、よく私の両親の事をご存じでいらっしゃいます、せめて、その、その百人一首でも見とうござんすのにね。……」
と言も乱れて、
「墓の所をご存じではござんすまいか。」
「……困ったねえ。門徒宗でおあんなすったっけが、トばかりじゃ……」
と云い淀むと、堪りかねたか、蒲団の上へ、はっと突俯して泣くのであった。