Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme

Aozora Bunko

「やあ、金之助ではないか」

横さまに馬を乗りつけながら与右衛門が呼びかけた。――金之助はちらと見たが、

「あっ……」低く叫びながら逃げようとする、その行く手を与右衛門は乗り塞ぎながら、

「待て金之助、仔細はもうわかっているぞ」

「――え!」

「そればかりではない、おまえは儂の子なのだ。おまえは榊原与右衛門の子なのだぞ」

「何とおおせられます」

金之助は思わず馬上に伸び上がった。

「訳はおむらから聞け、慶太郎こそおむらの子だ、儂の本当の子はおまえなのだ、――金之助、父と呼べ」

「…………」

「父と呼べ、おまえは榊原与右衛門の子だ、ここにいるのがおまえのほんとうの父だぞ」

「――父上!」

馬を寄せて、裂けるように呼びながら、金之助はひしと与右衛門の体へ抱きついた。両方の鎧が、二人の心を語るかのように鳴り響いた、十五年の長い春秋を経て、今こそ父と子は互いの血の温みを感じたのである。明けかかる空に、味方の勝鬨の声が潮のごとくどよみ揚がった、それもまた、この父子の歓びを祝福するかのように。