Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme

Aozora Bunko

「お嬢さま、そんなに気をお病みになってはお体に障りますから」

「でもお通のせいなんだもの」

「そんな馬鹿な事をおっしゃっては」

「いえ本当なの、子供みたいに隠れんぼなんかしたのが悪かったのよ、あたしがあんな大声を出さなかったら、こんな事にはならなかったんだわ……清吉」

お通は清吉の肩を揺すりながら、

「堪忍しておくれ、お通を堪忍して」

「…………」

肩に触られて始めてわかったのか、清吉はぼんやりと眼を動かし、唇をだらしなく明けて妙な喉声を出した。――全く唖聾の顔である。お通はそれを見ると、胸をしめつけられるように悲しくなり、わっとそこへ泣伏してしまった。

別にどこといって怪我をした訳ではないので、明くる日になると清吉はひとりで起出したが、道玄の言った通りまるで白痴も同様で、店や奥をうろうろと歩き廻るかと思うと、土蔵裏の空地にぼんやり立っていたり、庭の池を覗きながらにやにや独り笑いをしているばかり、誰の顔も見分けがつかず、何を言われても感じない様子だった。

お通は身も世もない悲しさに、清吉の姿を見るとは泣き、駄目だとは知りながら、側へ行っては話しかけるのだった。