Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
「何うだね? お店は忙しいの?」
と奥ではお母さんが新太郎君と寛一君を迎えた。
「忙しいの何のって、頭がガン/\します」
と新太郎君は火鉢の側に坐った。
「大袈裟だねえ、お前は」
「流石に社会です。学校とは違う。ねえ、寛一君」
「しかし下読みや試験がない丈け楽だぜ」
と寛一君は然うまで感じていなかった。
「算盤なんか毎日試験も同じことだよ。後から/\と間違ったことが露れてくる。極りが悪いや」
「まあ/\、お茶でも入れましょう。お父さんの留守の間に息抜きをするさ。商売となれば何うしたって骨が折れますよ」
と母親は斯ういう犬ころ可愛がりが宜しくない。
「僕は何うも神経衰弱のようだ」
とこの時新太郎君は初めて神経衰弱を言い立てたのである。
「そんなことはないでしょう」
「未だ慣れないから草臥れるんだよ」
と寛一君も否定した。新太郎君は別に主張もしなかったが、
「僕達は迚も店のものゝ模範になんかなれません。一体家のお父さんて人は無理なことばかり言うんです」
と少時駄々を捏ねた。
「それはお前、お父さんは精神丈けを仰有るんでしょう。先方は皆子供の時分からやっているんだもの、競争したって敵いっこありませんわ。