Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
「其方です。その縁側の突き当りです」
と寛一君が指さした。
「分った/\」
と言って父親が出て行った時、首を伸して見送った母親は帯の間から半紙に包んだものを出して新太郎君に渡した。新太郎君は手早くそれを懐中へ仕舞い込んだ。寛一君は知らん顔をしていた。
「新太郎や、お父さんは御機嫌が悪いんですよ」
と母親はお金の包のことには一言も触れずに声を潜めて話し始めた。
「今朝は連れ戻すと仰有って大変な権幕でしたが、私、種々と申上げて今月丈けということにお願いして来たんですから、月末には是非帰って下さいよ」
「はい」
「私、間に入って独りで困っていますのよ。もう悉皆好いんでしょう?」
「えゝ、夜時々寝られませんけれど」
「嘘を仰有い」
「真正ですよ」
と新太郎君は口を尖らせた。
「私、見に来て宜かったと思うわ」
「何故ですか?」
「こんなところには心配で然う/\手放して置けませんよ」
と母親は離れの方を見た。
「お母さん、私を信用して下さらなければ困ります」
「信用出来ませんよ」
「伯母さん、そんな御心配は一向ないんです」
と寛一君が加勢に入った。
「寛一や、お前も能く/\だよ。お前は……」