Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
ボーシンとて、一介の仲仕であることに変りはないけれども、ともかく、金五郎は、二年間の苦闘によって、一つの組の切り盛りをする立場まで、こぎつけることが出来たのであった。
二年前、妻と二人、彦島を追われて、放浪の旅に出たとき、
「どこに行っても、これというて、心服の出来る親方というのは、居らんなあ」
と、述懐しあった。
裸一貫――力と頼むのは、自分たちの身体だけしかない。金があれば、とっくに支那大陸か、ブラジルかに渡っている。でなければ、なにか、商売でもはじめているかも知れない。また、学問があれば、ちがった道の歩きようもあろう。無学で、無銭、ということになれば、資本は、ただ若く力の溢れた肉体一つ、そして、労働が生活の方便となるほかはなかった。金五郎夫婦は、その身体を、粉にして、働いたのである。
「なんでも屋」が、「まあ、行ってごらん」といって、紹介状を書いてくれた。戸畑の永田組で、どうやら、二年間、落ちついたのであった。
二千トンの高野山丸の船橋を、初秋の風が吹き流れる。昼休みの弁当を食べ終った仲仕たちの多くは、甲板や艀などに横になって、昼寝をしている。