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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

と、蛭子顔で、いった。

「さようですなあ」

金五郎は、そう返事はしたものの、上の空である。さっきから、きょときょとと、駅前の方角を、不安の眸で、眺めまわしている。

大庭春吉は、それに気づいて、

「永田を待っとるのか?」

「はい」

「ほっとけ」

その語調は苦々しげで、放棄的だった。さっきの蛭子顔が、鍾馗面に、一変している。

「でも、たしかに、来ることになっとるんですが……」

「あんな奴、来にゃ来んでもええんじゃ」

「いえ、今日は、どうしても、来て貰わんことには……」

金五郎にとっては、港が日本一になるよりも、今は、親方の永田杢次の不参が、はるかに重大問題であった。このごろの永田の不行跡は、仲間うちでも、眼にあまるものとされている。もし、今日の、聯合組の親分衆の集まる遠足に洩れたならば、交際を知らぬ者として、進退問題になりかねない。金五郎は、気が気ではない。

やがて、雨合羽をまとった駅の小使が、停車場前の広場に、大きな振鈴をぶら下げて、出て行った。それを、カラン、カラン、カラン、と、大きく振って鳴らしながら、

「汽車が出ますよう、……汽車が出ますよう」

と、どなりだした。