Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「なんちゅうこと、いうかね。正直な人間が、泥棒なんかに入るもんか。悪人じゃよ」

「いいえ、わたしには、その泥棒が悪い人とは思えませんでした。きっと、初めて泥棒をする人じゃったとでしょう。よっぽど、切羽つまることがあったにちがいありません。どうしても六円の金がないと、夜逃げでもしなくてほならんか、生きるか、死ぬるか、……そんな追いつめられた気持で、思いあまって、泥棒する気になったんですわ。それで、あたしも、お金をなんとか都合してあげる気になって、お姐さんのところに、借りに行ったとです」

「とぼけた話じゃなあ。泥棒にやるために、金を借りに行く者も行く者じゃが、帰って来るのを、てれっと待っとる泥棒も、泥棒じゃ。巡査を引っぱって来はせんか、という疑いの心も湧かんとじゃろか。近ごろ、間抜けな話を聞いたわ」

「お姐さん。この二円、余りましたけ、おかえししときます」

「十円のうち、泥棒に六円やって、どうして、二円余る?」

「夜泣きの「当り矢」さんが、強盗に逢うたというもんじゃけ、二円あげました」

「気前のええ女子じゃなあ」

ヨネは、ほとほと呆れた、という顔つきだった。

それから、また、二日経ったが、なお、金五郎は帰って来なかった。