Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
そがあな男は早よ見切りんさい」
「見切るかも知れんけえ、ともかく、帰るまで待ちんさい、玉井に聞いてみて、玉井が、時やんの嫁女になってもええ、というなら、なる」
「そがあな、まだろこしいことより、今からすぐ、二人で、この家を出ろうや」
「時やんの判らず屋」
はげしい語調だった。猫が二三匹びっくりして、飛びあがった。大川時次郎も、不意に、頬に平手打ちを食ったようなおどろきで、きょとんとした顔つきになった。それまでにも、妙に、威圧されるものを感じていたのに、その叱の声は、完全に、時次郎を打ちのめした。
時次郎は、俄かに、言葉をうしない、首を深くたれて、うつむいた。
マンは、無言で、また、煙草を吸った。
時次郎は、しょんぼりした顔つきで、頭をあげた。
「マン坊、その玉井金五郎という人の帰るのを、待つことにするよ」
力のない声で、いった。
それから、やっと、二人は、久しぶりで逢った故郷の人間同士の平静さにかえって、一別以来の村の話に、花を咲かせた。
その日が暮れても、夜になっても、金五郎は帰らなかった。
時次郎は、泊ることになった。マンは六畳の方に、客人は四畳半に寝ることにしたが、蒲団がない。