Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
「大庭の親分さんが?……」
「聯合組の提灯を持った人が、桟橋のところに居るもんじゃから、誰かと思うたら、大庭の親分でした」
「そら、いかん」
マンは、急に、びっくりしたように、立ちあがった。
「酒が来たら、弁当といっしょに、俊ちゃんに持たせてやって下さいな」
永田ヨネに、そう、いい置いて、あわてふためいた様子で、表に駈けだした。右手に、永田組名入りの弓張提灯を持っていた。
冷えきった秋の夜気が、手をさしこむように、懐に飛びこんで来た。月がぼうと霞んでいる。マンは、左手で襟元をかきあわせ、その腕で、乳房の盛りあがっている胸をおさえて、急いだ。
夜泣きうどんの「当り矢」の横を、通った。
「玉井のごりょん、こないだは、ありがとう。熱いのを一杯、どうな?」
そんな「当り矢」の言葉も聞きすてて、一層、歩度を伸ばした。
停車場の裏手に当る狭い路地の奥に、永田杢次の妾宅があった。格子戸を、どんどんと、叩いた。
「電報、電報」
赤い長襦袢姿のおサクがあらわれた。髪がみだれている。
「永田の親方に、すぐ、あたしといっしょに帰るように、いうて下さい。パナマ丸の仕事を心配なさって、大庭の大親方まで、出張っていなさる。