Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
その名の起った、チャンチャンコまがいの袖なしドテラを着て、白足袋をはいている。女角力のように、堂々とした体格だ。色は浅黒く、利かぬ気らしい精博の気が顔にあふれ、糸のような細い眼に、異様な光がある。大丸髷に、桜の花びらが幾ひらも乗っている。
洞海湾を中心とする北九州を、眼下に一望できる金比羅神社の境内は、撩乱たる桜の花ざかり、晴れあがった春空の下で、各所に、花見宴が張られていた。
「ドテラ婆さん」も、十四五人の子分づれで、朝から、気焔をあげていた。芸者も、五人ほど、席に侍って、取り持ちをしている。
ギンの命令で、二人の芸者が、三味線を取りあげた。一人が、
「なにをお歌いになるの?」
「磯節。……ええな」
女親分は、細い眼をさらに細めて、歌いだした。
若松名所を知らない人に、
若松名物、知らせたい。
金比羅山から、岬の山、
桟橋、眺めりゃ、
岡蒸気が、ピイ……
まるで、申しあわせたかのように、眼下の鉄道桟橋のうえを走る汽車が、ピイッと、汽笛を鳴らしたので、どっと、拍手と笑い声とが起った。
「さあ、今度は、角助どんの番じゃ。なんか、やれ」
男のような言葉つきであるが、その声は、黄色い金切り声である。