Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
武蔵温泉から帰った夜、マンと時次郎との二人の前に、その助広を抜いて立ちはだかった。
「間男、見つけたぞ。打ち斬ってくれる」
そういった。しかし、心の中では、笑いをこらえていたのであって、助広を間男成敗に使う気持は、毛頭なかった。マンと時次郎が、話している様子をすっかり立ち聞いて、マンの潔白を信じてから、持ち前のおどけ癖で、一芝居打ったにすぎない。
ところが、若松に来ると、その日本刀が、さかんに、喧嘩用、殺人用に、使用されている。そして、今、自分も、その渦中に巻きこまれる運命に、陥っているのだった。しかし、金五郎は、助広を喧嘩用に使いたくなかったので、森新之助の刀を借りに行ったのである。
(なんという馬鹿げたことを、やっとるのか?)
金五郎は、刀から眼をはなすと、腹立たしい自嘲の思いに、気が腐った。笑いだしたい。しかし、いつか、パナマ丸荷役のとき、情ないやら、馬鹿々々しいやら、恥かしいやらで、笑ってやろうと思ったら、眼から、水が流れ出たことがある。今夜も、そんな気持だった。
(滑稽千万な、おどけ芝居じゃ)
自分が、派手な無台装置のまん中に坐っている、下手な喜劇役者のように思われて来た。