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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「光坊、来な。ビビンコしてやろ」

俊次は、そういって、光子を、肩車に乗せた。しかし、客が多すぎて、どうしても、うまく観ることが出来ない。台詞や音楽が、とぎれとぎれに聞え、花やかな舞台の色どりゃ、動きが、ちらちらするばかり、なんのことやら、さっぱりわからない。

「俊ちゃん、駄目やわ。大変な人気ね。明日は仕事休みじゃけ、みんなで、揃って出なおそうよ」

「癪じゃなあ」

いくら努力しても観ることが出来ないので、とうとう、あきらめて、外に出た。

「おやッ」と、俊次が呟いた。「ありゃあ、オヤジさんじゃないか知らん?」

暗い街角を曲る金五郎と、市松模様の衣裳の芸者とが、見えたのである。

「そうらしいわね」

そういって、マンは、ちょっと立ちどまったが、二人の姿が、街角から消えると、格別、なにごともなかったような顔つきで、本町筋に出た。もう灯の消された家が多く、街は暗い。

肩車されていた光子は、眠ってしまったので、俊次が負ぶった。「井上金物商」の店先に、立ち寄った。息子の安五郎が、大戸をしめようとしていた。マンの姿を見ると、主人が、奥から、出て来た。

「これは、玉井のごりょんさん、大層、遅いお買物で……」