Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
それが、金五郎のいることを知っての、聞えよがしであることは明瞭だった。
二つほど間を置いたテーブルに、五六人の客が、金五郎たちの入って来る前から、洋食をつつきながら、ウィスキーを飲んでいた。芸者が二人まじっている。言葉を発した筒っぽ袖の男は、金五郎に背を向けていたので、誰かわからなかった。けれども、それが、友田喜造のいる共働組の誰かであることは、容易に想像された。
金五郎は、その席にいる芸者の一人の顔を、見たことがあるように思った。
(染奴だ)
と、すぐに気づいた。
「なんぼ、玉井が謀叛人ちゅうたって、命は惜しいにちがわんからなあ。うちの親分に楯ついて、組合作ったら、どげなことになるか、玉井が一番よう知っとろうだい」
筒袖の男は、まだ、つづけている。
「大将、出ましょう」
いたたまらなくなったように、胡蝶屋豆八が、金五郎の耳にささやいた。
「うん」
女給を呼んで、勘定を払った。もう千鳥足になっているデッキ番を支えながら、その部屋を出た。背後に、男と女と入りまじって、爆発するように、嘲るように、けたたましく、笑う声が聞えた。
「突貫亭」を出た。門のガス燈が青白く、あたりは霧でもかけているように霞んでいる。