Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
……ほんとじゃよ。おれが、なんで、玉井さんのような立派な男を殺すわけあいがあろうか。それなのに、玉井組の若い衆が、おれを恨んで、おれの家になぐりこみを掛ける、ちゅう噂を聞いたもんじゃけ、おれはびっくりして、飛んで来たんじゃ。……な、ごりょん、おれを恨むのは筋ちがいばい。おれは、心から、玉井さんの災難を気の毒に思うとるんじゃよ」
早口で、追っかけられるように、ギンは弁解する。
歯を食いしばって、相手を睨みすえていたマンの眼から、すこしずつ、強い光が消えて行った。刀の柄を握りしめていた右手からも、力が抜けた。
(さし殺して、自分も死のう)
そんな張りつめた気持でいたのに、マンは、いつか、ささくれだった復讐の念をうしなっていた。
女侠客として、勇名のとどろいている「ドテラ婆」、それにしては、意外にだらしのない態度である。堂々と、金五郎を嘲笑し、止めを刺しに来たのかと思った。子分を十四五人も引き具している。ところが、ギンは、ひたすらに、弁明につとめるばかりだ。ふるえてさえいる。つれて来た子分は、玉井一家の仕返しを恐れる、自分の護身のためらしい。戦意などは微塵もない。