Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
牢屋に送ることになるかも知れん。まあ、被害がなくてすんだんだから、お引き取り下さい」
愛嬌のない横柄な巡査は、そういうと、般若の五郎に、また手錠をはめ、後からこづきまわしながら、引き立てて行ってしまった。
暮れるのに遅い春の日も、ようやく、黄昏れて来た。
九段坂上にある「筑紫館」は、博多出身の者が経営していて、九州から上京する人たちの定宿になっているようだった。和洋折衷の三階建である。
二階の突きあたりの六畳が、金五郎と安五郎との部屋に割りあてられた。
一足遅れて着いた金五郎は、宿の褞袍に着かえながら、その視線は西方の一角に釘づけされていた。
まだ明かるい西空に、くっきりと富士山が浮き出ている。そこだけくり抜かれたような空の形が、洒落れた額縁のようだ。真赤な夕焼雲が美しい。
金五郎は、しんとした気持になった。
右手に視線をめぐらすと、すぐ近くに、靖国神社の屋根と、大鳥居とが見える。境内一杯の桜はもう青々とした葉桜で、数本の彼岸桜だけが、その中に、ふさふさとした八重の花びらを点綴している。
女中が、入って来た。
「お客様、お風呂をお召しになられませんか」