Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
「ちょっと」
他の傍聴者の邪魔にならぬよう、扉のところまで行った。
「あなたにお電話がかかっていました」
「どこから?」
「丸ノ内警察からです」
「どういう……?」
「あなたにそういえばわかるとのことで、……僕にはよく事情が飲みこめませんでしたが」
「般若の五郎という男のことではありませんでしたか」
「般若の?……いや、五郎とはいったが、……そうだ、大貫五郎とか、……」
「そうです。大貫五郎です。それが?……」
「あなたに身元引請けをして貰って、釈放するから、今すぐ、署まで来るように、伝えてくれとのことでした」
「今すぐ?」
「ええ、すぐでないと帰さないそうです」
金五郎は、時計を見た。眉が寄った。当惑した。十一時四十二分、吉田磯吉が指定した正午に近い。
丸ノ内警察署の裸ベンチのうえで、金五郎はしびれを切らせた。議会からまっすぐかけつけて来てから、すでに、数時間が経つのに、まだ、般若の五郎は釈放されないのである。面会もさせてくれない。
うるさそうに、
「もうすこし、待っていて下さい」
と、いうばかりだ。
仕方なく腰かけていると、たしかに、入れかわり立ちかわり、いろいろな人物が出入りして、この大都会の中央街にある警察署の多忙なことがわかる。