Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
「へえい」
豆八は、首をすぼめたおどけた恰好で、わざと跛を大きく引きながら、逃げて行った。
入れちがいに、光丸が入って来た。青い顔をしている。
誰かを探すらしく、落ちつかぬ眸で、ひろい稽古場に、群がっている芸者たちの中を物色した。光三を見つけると、
「ちょっと、姉さん」
眼で、呼んだ。
二人が、団十郎縞ののれんを排して、廊下に出ようとしたとき、
「光丸さん、もう、あんたの順番ですよ」
背後から、師匠藤間いせのきびしい声が追っかけて来た。
「はい、……すぐ、……」
おどおどしながら、切迫した面持で、姉を廊下の隅にみちびいた。
「良ッちゃん、どうしたの?」
「姉さん、今朝、こんな手紙が来たのよ。……読んでみて」
光丸が、帯の間から取りだした一通の封書を、光三は目読した。
「前略。君を信用していたのに、君がたいへん不誠実であることがわかった。最後の話しあいをしたいと思う。五月三日、六時、「丸金」で待っている。勝則」
巻紙に、そんな簡単な文面が、走り書きしてある。
「あたし、どうしようか知らん……?」
「どうするたって、行くほかないじゃないの?」
「怖いわ。最後の話しあい、なんて……」