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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

温泉宿も一軒きり、古ぼけた二階家を青ペンキで塗ってある。強いて取り柄をいえば、縹渺たる響灘を望む景色のよさと、魚の新しさくらいのものであろう。その温泉宿「かもめ館」の二階に、湯上り姿で、寝そべっている二人の男女――唐獅子の十郎と、お葉とが、一杯きげんで、話をしている。

五月の空は深く澄みきって、渚にうちよせる波のひびきが、紺青空の天をふるわせているようだ。潮と海苔の強烈な香が、北風に乗って、窓から吹きこむ。沖には、たくさんの漁船が出ている。

「若松というところは、お前のおふくろから聞いてたよりも、もっと、ひでえ街だなあ」

十郎は、ガラスの欠片で、額に出来た傷に、絆創膏を貼っている。

「おッ母さんが、心配するはずでしょう?」

「まったくだ。よくも、玉井金五郎てえ男が、今日まで命があったものよ」

「友田喜造が――玉井がこんなに大きくならん前に、かたづけとくんだった。……なんて、口惜しがってるとさ。ここまで、玉井組が根を張ったんじゃあ、いくら、吉田一派だって、うっかりしたことも出来まいからね」

「それで、お葉さん、玉井のおかみさんと会談した首尾は?」

「あたしも、正直、おどろいたよ。