Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
海員組合が仲仕ストのスキャップになるわけにもいかんです。三時になったら、鉦をたたきますから、どうぞ、それを合図に、引きあげて下さい」
金五郎は、気あい抜けがした。てっきり、共働組が、またも、友田の命令で、裏切ったと信じきっていたので、しばらくは、ぽかんとなるような気持だった。金五郎の時計は、ちょうど一時間、進んでいたらしい。合わせるとき、うっかりしていて、まちがったものであろう。
「玉井さん、心配せんでも、ええですよ。友田の親分から――三時には、まちがいなしに、引きあげれ。……そういう命令が来とりますけ」
高司清市のその言葉を聞いて、はじめて、金五郎は、安堵した。よろこびが、おさえきれず、
「久しぶりで、ウインチを使うてみるかなあ。高司君、ええでしょ?」
「ゴンゾの本性、あらわしましたな」
悪気でなく、そういって、笑いながら、承諾した。
金五郎は、ウインチ機械のところに来て、仲仕と交替した。
「へえエ、小頭組合長のウインチ番で、仕事やるのか」
仲仕たちも、笑った。新しい気合が出た。
金五郎は、ハンドルを握って、たくみに、ウインチを使った。ゴト、ゴト、という音とともに、もうもうと、まっ白い蒸気がふきあがる。