Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よしとししゃせいちょう

芳年写生帖

野村 胡堂

Lesen Sie 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.626 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

芳年の言葉にも態度にも、何んのこだわりもありません。

「それは有難い」

日下部欽之丞は、ツイ今しがたまで、およつと、よからぬ事を企んでいたことなどは、綺麗に忘れてしまった様子です。

「で、――馬道よりは近所が遠いだけでも身を隠す都合が宜かろうから、すぐおつれするようにと、斯う言うお言葉でございました。世間が物騒だから、お返事を口移しで、書いたものは持って参りませんから――」

「それで結構、飛んだ御苦労であったな、早速支度をして、今夜にも出かけるとしようか」

欽之丞はもう、まだ癒らぬ首の傷のことも忘れて、床から飛起きて居りました。

「いえ、夜は反って物騒ですよ。私は諸方をほッつき歩いて、其辺中の官兵の屯所は、一つ残らず顔馴染だから、私と一緒にお出でなさい。とがめられたら、私の弟子ということにしましょう。陽の当るうちの方が、どんなに安心だかわかりません」

「成程、そう言ったものかも知れぬな」

日下部欽之丞は支度を始めました。月代を広く取って、根を下げた町人髷、芳年の袷、手拭はわざと肩に、脇差は鍔を外して懐に隠し、突っかけ草履で、芳年の後に続きます。

「ね、欽さん」