Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よしとししゃせいちょう

芳年写生帖

野村 胡堂

Lesen Sie 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.626 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

血に狂う美女

「あッ」

恐ろしい予感が、水のようにおよつの背筋を走りました。

血に狂う美女

「およつ、居たか」

洞ろな声、眼はギラギラと瀬戸物のように光ります。

「お前さん、何んて顔だい、――あの人が若しや?」

およつの言葉は喉の中で消えました。

「田圃で官兵に捕まったよ」

「えッ」

「上野で散々官兵を斬ったことを知って居る者があって、其場でなぶり殺し同様」

「じゃ、矢張り」

「これを見ろ」

芳年は、ポンと画稿を投げました。

手に取って見る迄もありません。およつの膝の前でパッと開いたのは、矢立の墨一色で描いた、至って粗末な略画乍ら、紛れもない町人姿にして出してやった日下部欽之丞が、多勢の官兵に取巻かれ、乱刃の下に斬りさいなまれている怨の形相です。

「えッ、畜生」

およつは画稿を叩き付けて、いきなり芳年に武者振り付きました。

「あッ、何をするんだ」

「お前と言う男は、何んと言う卑怯者だい。私とあの人の仲を疑って、力ずくで叶わないから芋兵に、訴えて召し捕らせ、こんな虐たらしい目に逢わせやがったろう」

「俺がそんな事を知るものか、離せ」

「わざわざ陽のあるうちに連れ出したのは、これを絵に描き度いために違いない。