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Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「わたくしもいま、帰ろうとしているところなんです、いろいろ有難う、じゃ、もう帰らしていただくわ。」

「だってそんな、……おじさまはお会いしたいくせに、わざと、冷然としていらっしゃるのよ、あたい、喧嘩しちゃった、明日からは一さい合財ご用事してやらないってね。」

「困るわ、わたくしのためにそんなこと言ったりして。」

「何だか本当はお会いするのが怖いらしいのよ、煙草を持っている指先の顫えを見せまいとして、手を動かして誤魔化していたわよ。」

「どうしてでしょう。」

「ときにおばさま、右の手をちょっと見せて。」

「何なの。」

「まあ、まだ腕時計をねじ取ったあとがのこっているわね、この傷痕どうして永い間治らないのでしょう、これ、おじさまの仕業じゃないわね。」

「ちがうわよ、他の別の人、」

「一たい誰なの、お時計盗んだやつ。」

「それはいえませんけど、知っている人なんです。」

「きっと、以前おばさまにお時計を買ってくれた人でしょう、その人が訪ねて来た時に、おばさまはとうに死んでいた。そしてその男が出来心だか何だかわかんないけど、力一杯に手頸から時計をもぎ取って逃げ出したのね、おばさまの死んだことなんぞ、どうでも宜かったのね、ただ、時計がきゅうにほしくなったのね。