Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「銅貨で重くていいか、」

「かまいません、それからおじさま、あたい、歯のお医者様に行きたいんですから、別にその方のお金も頂戴。」

「金魚が歯医者にかかるなんて聞いたこともないが、歯がどう痛いの。」

「このあいだね、慌てて、石を噛んじゃった、がりがりって。」

「あわてるからだよ、たべものは一遍そっと口にさわって見てから、食べるようにするんだね、歯はいたむの。」

「痛いわ、骨にひびくわ。」

「骨にひびくって、骨にって背骨の骨のことか。」

「お背中の骨なのよ、おじさま、いま骨の話をしてからおじさまの顔色が、へんに変って来たわね、それ、どうしたのよ。」

「僕はまだ金魚の骨というものを見たことがないんだ、金魚に背骨があるかないかも昔からわすれていた。人間で金魚の骨を見た人が何人いるかしら、全くたいへんなことを忘れていたものだ。」

「どうしてそんな、あたい達の骨が見たいの。」

「見たいような見たくないような、また、怖いような気もするんだ。よく考えると人間は誰でも、いろいろな骨は見て来たけれど、まだ金魚の骨だけは見た人間は滅多にいない、たとえばきみの優しいからだに骨があるとは、どうにも考えられないことだ。