Japanische Klassiker mit Furigana
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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme
」
「二人とも歯が悪くては困るね。なるほど、歯医者さんにはちゃんと、くちべにはおとして出掛けるなんて、感心だね。」
「でなかったら先生の手も、お道具も、くちべにで真赤になるじゃないの? どう、とれましたか。」
「とれたよ、くちべにを取ると、まるでぼやけた顔になる。」
「くちべには女の灯台みたいに、あかあかと点っているものよ、消えたら、心までしょんぼりしてくるわ。じゃ往って来ます、あの、それから、あの方とあたいの留守中仲よしになったら、きかないわよ、うふ、あたいって妬きもちやきだわね。」
「大きな声を立てると聴えるよ、ほら、お金、」
「きょうのおきまりの煙草はもうあがっているから、あとは半本だってお喫みになっちゃいけないわ、煙草の箱、持ってゆくわよ。」
「一本だけ置いて行ってくれ。」
「だめ、つい一本が二本になるから、煙草を見たら、毒と思えということがあるわ、温和しく俟っていらっしゃい。じゃ、往って来まあす。」
「あら、何時かのおばさま、ほら、講演会でお会いしたおばさま、あたい、ちらっと見て、すぐ判っちゃった。」
「お一人じゃないわね、ずいぶん、大きくおなりになったのね。