Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
あなたには、アイクもヤンキースもないのか?」
博士は肩をすくめた。
「……しかし、私は鳥や魚のよろこぶものをよろこんでいれば、それで満足です。かれらを飼い、世話をやき、観察しているだけで私は充分だし、せいいっぱいです。そして、それが私のただ一つの人間としてのよろこびなのです。……」
「立派なことです。私は先生を尊敬します」
と私は答えた。博士は手をひろげた。
「いや、そうじゃない。立派なことだなんて思わないで下さい」博士はいたずらっぽく笑い、私の肩をたたいた。「じつのことをいえばね、人間という動物は、私には複雑すぎ、高級すぎるのです。それだけのことです。私は、むしろ魚や鳥の仲間なのです」
砂利の敷かれた赤土の道を歩きながら、私は博士のその言葉に、なんとなく感動していた。とにかく、そのときはまだ博士は、私には、つねにおだやかな微笑をもつ、柔和な、すぐれた一人の老学者にすぎなかった。
午後の数時間を、私は博士とともに温室の水族館の中ですごした。博士は、水槽のほとんど一つ一つの前で立ち止って、詳細で興味ぶかい説明を加えた。私は時のたつのを忘れた。私は、鰭一枚の動きすら見逃さない老博士の観察の精細さと、尽きることをしらない深遠な知識、さらにその独自な理論展開のあざやかさに、心から感嘆した。