Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
爺さんは大得意でした。それからというものは、昼間はいい香りのする花を取りに出かけ、それを売って大変お金をもうけ、晩になると、立派なごちそうやうまい酒のある家をかぎつけて、そこでたらふく飲み食いしました。いくら飲み食いしたって、たかが老人一人ですから、そうたくさんではありませんので、村人達はいつも快くもてなしてくれました。それにまた爺さんは、村から天狗を追い払った大恩人ですもの。
そのうちに爺さんは、花を売ったお金はどしどしたまってくるし、ごちそうや酒にはあきてくるし、何だか退屈でつまらなくなってきました。この上は何か素晴らしいものが、まだ見たことも聞いたこともないようなものが、どこかにありはすまいかと、高い天狗鼻をうごめかしながら、じっと考えていました。
すると、どこからともなく、さらさらと涼しい風が吹いて来て、その風上の遠くの遠くに、何とも言えないよい香りのするものがありました。麝香でも肉桂でも伽羅でも蘭奢待でもない。いやそんなものよりもっとよい、えも言われぬ香りでした。
「これはきっと天下第一の宝物に違いない!」と爺さんは思いました。
爺さんはもう有頂天になって、その宝物を取りに出かけました。