Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
よい香りは、村の後ろの高い山の方から匂ってきました。爺さんは天狗鼻をうそうそさせながら、山の奥へ奥へと登って行きました。ところが不思議なことには、いくら行ってもそこへ行きつきませんでした。行けば行くほど、香りは遠い所から匂って来ます。
「これはきっと大変な宝に違いない!」と爺さんは考えました。
そのうちに、山はだんだん奥深くなって、草木がいっぱい茂っていて、もう路もなくなってしまいました。その上、爺さんは長い山路を歩いて来ましたので、腹はへってくるし、足は疲れてくるし、弱ってしまいました。けれど、ただ宝物を取るという欲でいっぱいでした。何もかもうち忘れて進んで行きました。
にわかに、ひときわ強くぷーんといい香りがしてきました。いよいよ来たなと思って、爺さんは一生懸命に足を早めました。そして山奥の崖のふちまで来ますと、あっと言って立ち止まりました。
まあどうでしょう、崖の下の谷間一面に、素敵な花が咲き乱れてるではありませんか。十畳敷もあろうかと思われるほど大きな百合の形をした花で、そのビロードのような花びらは、赤や青や黄や紫やさまざまの色をして、その上に金色の花粉が露のように散りこぼれていて、それをすみきった日の光が、きらきら照らしているのです。