Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

Lesen Sie 鉄塔の怪人/海底の魔術師 (てっとうのかいじん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 160.770 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

そのうすきみのわるい男が、小さな黒い箱をだいじそうに両手でさしだしているのです。

賢吉君は、小箱をうけとっていいのかどうか、決心がつきかねて返事もしないでいますと、男はしきりにうしろをふりかえって見ながら、

「はやく。はやく、これをうけとってくれ。おれは、悪ものにおっかけられているんだ。いまにも、ここへやってくるかもしれない。そうすれば、もうおしまいだ。悪ものは、この小箱をねらっているんだ。さ、はやく。」

男はそういって、またうしろをふりむいていましたが、なにか遠くの音を聞きつけたらしく、ハッとなって、

「来た。やって来た。もうだめだ。一生のおねがいだ。これを持っていって、かくしてくれ。けっして悪ものにとられるんじゃないぞ。さ、うけとってくれ。そして、そこの大きな木のうしろにかくれているんだ。にげだしちゃいけない。あいてはおとなだから、にげたら、すぐつかまってしまう。いいか、わかったね。」

小箱はいつのまにか、賢吉君の手にわたっていました。鉄でできているらしく、小さいわりにはひどく重い箱でした。男が賢吉君の背中をつきとばすようにしましたので、賢吉君は、おもわずよろよろとして、一本の大きな木のみきのうしろにかくれました。