Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.947 Zeichen · 114 Bildschirme
その二十一
前にはよくズボンのすそから靴下止めを見せつつお出ましあるなどの例も珍しくなかったという。陛下をめぐる人々からそんなお噂も出たりするほど、ここは昔日の皇居ではなかった。まことに今昔の感がふかい。言ってみるなれば、賜餐の感は、そうした文化の日らしいおくつろぎに陪させていただいたことが、何よりもありがたくまた何よりなご馳走であった。(三五・一一・一一)
その二十一
秋の話題に、マスコミが派手にあつかったせいもあろうが、文化勲章の「物」そのものを、どんな品かと好奇心で見たがる人が案外多い。
私は当日、拝受して皇居を退がるとき、それは黒塗の箱におさめて持ち帰るべきであろうと思っていたら、式部官のおひとりから、恒例、各自胸にさげて帰宅されるのがふつうであるときかされて、私も佩用したままで家へ帰った。しかし街では車の中にいる間じゅう胸の勲章がどうもおもはゆくてならなかった。
家には大勢客がいた。そしてかわるがわる私の胸へ寄って来て物珍しげに勲章を見、そのデザインや色彩の批評をしあった。そっとさわってみたりして「重たいんですね。見た目よりは」と言ったりした。
すべて子どもみたいな好奇な心理になるのらしい。