Japanische Klassiker mit Furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme
消失せた令嬢
× × × × ×
穴蔵の水は、もう頸までの深さになった。
一郎も二郎も、いつの間にか床から足を離して泳いでいた。善太郎氏は二人に助けられて、辛じて身体を浮べている。
暗中の水泳がいつまで続くものでない。凍った水に、身体は段々無感覚になって行く。
「もう駄目だ。もう我慢が出来ない」
一郎が譫言の様に、無残な叫び声を発した。
「もう力が尽きた。一層死んだ方がましだ」
二郎もすすり泣きをして、兄の身体にしがみついた。父玉村氏は、已に死人も同然、グッタリとなって、物を云う力もない。
アア、折角の文代の純情も、明智や刑事達の努力も、僅かの相違で仇となり、遂に玉村親子は、この穴蔵で凍え死にをしてしまう運命ではなかろうか。
消失せた令嬢
復讐鬼の方には、悪魔は悪魔ながらの理窟もあろうけれど、敵を討たれる玉村氏一家のものは、我身に何の覚えもないことだ。親が若気の至りで、どの様な悪いことにしたにもせよ、それ故に、子や孫が一人残らず、この苦しみを受けなければならぬという道理はない。
父善太郎氏は、親の報いとあきらめもしようけれど、可愛い子供が三人まで、同じ憂き目を見せられるとは、余りと云えば残酷だ。