Japanische Klassiker mit Furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme
「アア、賊の娘の文代ですか。成程成程、あの娘は可哀相です。あれは最初から、我々の味方だったのですからね。悪魔の様な父親との間にはさまって、どんなにか心を痛めたことでしょう。無論無罪放免ですよ。ただ時期の問題です」
「いつ頃でしょう」
「ハハハ……、あなたの美しい幻というのは、つまりその文代のことだったのですね。あの美しい文代が、あなたの為に、どれ程つくしたかということは、僕もよく知っていますよ。文代の恋がなかったら、玉村家の人は、とっくに死に絶えていたのですからね」
「僕はなぜか、あの娘のことが忘れられないのです。父親とは似てもつかぬ、身も心も美しいあれの幻が、目先にちらついて仕方がないのです」
明智は子供らしく、ありのままを告白して、少し顔を赤らめさえした。
「仮令犯罪者の娘でも、文代なれば、あなたがどれ程親しくなさろうと、僕は苦情を云いませんよ。あんな純情の女は滅多にあるものではありません。……玉村の妙子さんと比べても、決して見劣りがしませんからね。顔も心も」
明智は妙子の名を聞くと、なぜか眉をしかめた。
妙子とは嘗つてS湖畔にボートを浮べて、友達というよりは、恋人の様に語り合った記憶がある。