Japanische Klassiker mit Furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme
彼女は、態と肴町で自動車を降りて、団子坂通りを指定の空家へと歩いて行った。
横町を曲ると、陰気な住宅街で、頭より高い生垣が、両側にまるで八幡の藪不知みたいに、うねうねと続いていた。
闇夜は距離を二倍に見せる。さ程でもない道のりを、妙子は、この生垣の中で、迷児になってしまうのではないかと思った程だ。
だが、やっとそれらしい石門が見つかった。星明りにぼんやり見える西洋館の屋根は、真黒な大入道の様であった。余りの不気味さに、
「いっそ帰ろうかしら」
と引返しかけたが、といって、犯人の隙見をあきらめる気にはなれぬ。単なる好奇心なら、引返しもしたであろう。だが、彼女には、彼女の外は誰も知らぬ、好奇心以上の、せっぱつまった必要があったのだ。
足音を忍ばせて、門を入り、雑草の生いしげった地面を、玄関へとたどりついた。
押して見ると、ドアは音もなく開いた。真直な廊下の突当りに、幽かな光が見える。多分あれが犯人のいる部屋なのであろう。
心臓が異様に波打ちはじめた。
アア、もう少しで、ほんの数秒の後には、真犯人を見ることが出来るのだ。と思うと、妙子は苦しさに息がつまり相だった。