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Japanische Klassiker mit Furigana

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まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

この建物のどこかに、人の気附かぬ様な、秘密の出入口が出来ているのではないかと疑ったからだ。

で、そうして歩き廻っている内に、秘密の出入口などはなかったけれど、その代りに、妙なものを発見した。何気なく目を上げて、遙か屋上の例の時計塔を眺めていると、その文字盤の表面に、遠くて読めぬけれど、何か文字らしいものを記した紙切れが、ベッタリ貼りつけてあるのに気がついた。

「オヤオヤ、兇行の日延べかな?」

一郎は、紙切れの文字が一字丈けでないらしいのを見て、変なことを考えた。

「よしよし、一つあすこへ昇って、あの手紙をはがして来てやろう」

一郎は即座に決心して、誰にも知らさず、洋館の二階に上り、塔への特別の階段を昇って行った。気丈な彼は、こんなことで騒ぎ立てて、神経過敏になっている人々をおびやかすこともないと思ったのだ。

とうとう怪賊は時計塔を利用した。幽霊犯人と幽霊塔、何という不気味にもふさわしい組合せであろう。だが、それにしても、賊は一体どうして、あんな所へ貼紙をすることが出来たか。屋根伝いに上へ昇るのは訳はない。問題は、賊が如何にして人目に触れず、邸内に忍び込み、屋上を這い廻ることが出来たかという点にある。