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Japanische Klassiker mit Furigana

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まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、残念なことに、もう少しのことで手が届かぬ。棒切れでもないかと機械室を見廻したが、適当な品も見当らぬ。

彼はどうしたものかと思案しながら、一寸の間、ボンヤリそこに佇んでいたが、突然、彼の様子が変った。何かしら非常に恐ろしいものに出くわした様に、身体を固くして、物凄く見開いた目で、空間の一箇所を睨みつめた。彼は全神経を耳に集中しているのだ。何か奇妙な音が聞えるのだ。

大振子のキシリではない。確かに笛の音だ。あの怪物の兇行につきものの、物悲しい笛の調べだ。

アア、今兇行が行われようとしている。だが、何所で、誰に。あり得ないことだ。家族の内の誰が屋根なんぞへ上っているものか。屋根の上には犠牲者はいないのだ。それにも拘らず、笛の音は明かに塔の外の屋根の上から響いて来る。

彼は笛の主を見る為に、文字盤の穴から首を出して、下の方に見える西洋館の屋根を眺めた。だが、そこには人の影もない。恐らく怪物は時計塔の裏側にいるのであろう。笛の音色によって想像するに、奴は屋根の上をあちこちと這い廻っているらしい。今にこちら側へ現われるかも知れぬ。どうかして一目、怪物の姿を見たいものだと、彼は長い間穴の外へ首を突き出していた。