Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
見ていろよ。今、この宅助が、首ッ根っこを捕まえてくれるから」
裾をはしょって、真鍮こじりの木刀をうしろへ廻した。見ている者には何がなにやらいっこうに分らない。ただ赤かった宅助の顔が青くなって、道化役者が撲られたようにしか見えなかった。
「たわけめ! 何をしているのじゃ」
そこへ、くわえ楊枝の周馬とお十夜について、天堂一角が、姿を探し当ててくるなり、はなはだまずい面構えを見せた。
そこに、相手もいないのに、宅助の血相が妙なので、三人も腑に落ちないながら、
「なんだ、そのざまは。喧嘩でもしようというのか」
宅助は、それどころか、という息まきようで、
「思いがけねえ獲物です。ぐずぐずしちゃおられませんから、わっしゃ、ここでお暇をちょうだいいたします」
「これ、待て待て」
一角は怖い眉をよせて、
「そちにはまだ用事がある。勝手に吾々の側を離れては相ならん」
「相ならんとおっしゃったって、宅助の目の前には、今、一大事が降って湧いているんで――ヘイ、今を遁しちゃ大変です」
「でも、このほうに用事がある。四国屋へそちを証人として連れてゆくまで、けっして暇はつかわさんぞ」
「困りますね、天堂様、宅助には森啓之助様が御主人なんで、あなた様にゃ御奉公いたしておりませんから」