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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

となるだろう。

「静かに――」と声をおさえた。お米も木立の奥や小川の汀を見廻した。

昼を啼く小禽――木の葉のささやき――そんなものしかなかった。弦之丞は静かに言葉をつづけた。危険性の多いお米の恋をなだめておいて、大望の手びきにあやつろうとする悪魔的な考えは、いつのまにか彼の心に自然な働き方をしていた。

「いかにもその目的のために、真っ先に、剣山の間者牢を訪れようと計っているが、さて阿波へ入り込んだ上には、さまざまな詮議迫害がそれを拒むに違いない。ところでそちが啓之助に囲われておれば、身を隠すには上乗の便宜、また何かのことにも都合がよい。どうじゃお米、いずれその目的を遂げさえすれば自由になれる弦之丞だが、それまで時節を待つと思うて、もいちど啓之助の所へ帰ってくれぬか」

お米もさすがに少し考えていたが、

「ええ……」と、やっとうなずいた。そして、「それがあなたにご都合がよいならば、私は、目をつぶって帰ります。ですけれどその代りに、きっと、あの……」と甘えるように男を見あげる――。

その間に、お綱は、わざと静かに、木立の細道を歩いていた。

もう少し、様子を眺めていようかとためらうふうであったが、お米の白い手が、人目もなく男の肩へ伸びたのを見せつけられると、かーっと熱い血がのぼって、吾にもなく、