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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの、お目にかかるのが嫌だって、どうしても出ておいでになりません」

「おれに会うのが嫌だって」

「あ、違いました。その、面目ないというふうにいいましたので」

「そうか。駄賃は貰ったかい」

「エエ、ちょうだいいたしました」

「じゃ、いいよ、ご苦労様」

と、使屋を帰しておいて、宅助は、水茶屋の青すだれから奥を覗いた。

尻無川を裏にした小粋な四畳半に、うしろ向きになっていたのがお米だった。

会わないというのを無理に、宅助はその水茶屋の奥へ通った。

「あら、わたし、どうしよう」

穴でもあったら入りたいような姿態をして、お米は、袂と一緒にうっ伏した。そして、

「宅助や。わたしは、旦那様にもお前にも合せる顔がない。すまなかった……すまなかったよ」

すすり泣きに泣きじゃくる。

「お米さん。じゃお前は、ほんとに眼がさめたというのけえ。まさか、いつもの手管じゃないでしょうね」

「もうそんな、痛い傷にふれておくれでない。わたしは、お前へやった手紙にも懺悔したとおり、すっかり覚悟をしたのだから」

「ふウん……まったく、眼がさめた、悪かったとおっしゃるんで」

「つくづく自分の浅慮さが分ってきたよ、こうしてお前にみじめな泣き顔を見られるのさえ、わたしは死ぬよりなお辛い」