Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
「で何分、内密に計らっておいてくれるように」
「よろしゅうございます。そういう訳とは存じませんので、只今、船のお席もご一緒にしたほうがよくはないかと、あちらへお伺いに出るところでございました」
「いや、とんでもないこと!」
何をしに廊下へ出たのか分らない結果になって、啓之助はぼんやり数寄屋へ帰ってきた。
有村は彼を見るなりすぐに、
「どうであった?」
と声を低めた。
「別に、仰せられたような模様も見えませぬが……」と啓之助はあいまいに席へついて、
「お耳のせいでございましょう」といった。
すると、その言葉も終らないうちに、ふたりの坐している床の下から、ことん、ことん、と二ツばかり突き上げるような音がした。
自分の坐っている床下から、トンと、妙な音が突きあげてきたので、森啓之助、思わず体を浮かしかけていると、
「お」
といって、三位卿も片膝を立てた。
そして、啓之助に向って、
「しばらくの間、庭先とその入口を、よく見張っていてくれぬか」という。
「は」
とは答えたが、啓之助には解せない。
何で? と訊こうとすると、よけいなことは訊くなといわないばかりに、
「早く」とまた言葉を重ねる。