Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
ふたりの死
「さようでござります。この分では揺れることもござりますまい」
「昨年、殿と同船して帰国した時は、厳めしいお関船で、船中も住居とかわらぬ綺羅づくしであったが、旅はむしろこうした商船で、穀俵や雑人たちと乗合のほうが興味深いものだ」
「仰せのとおり、手前なども」
「啓之助!」
「は」
「見えてまいったな、安治川屋敷のかすかな灯が」
そういう話し声に、新吉がハッと背筋をすくめながら、よりかかっているつづら越しに覗いてみると、森啓之助と、三位卿のニヤリと見あわせた顔がすぐ後ろに――
ふたりの死
「おも舵イッ」
白い波の条が大きな曲線を描く。
どーンと一つ、今までと違った波濤が胴の間にぶつかる。
海が近くなったのだ。
左の小高い丘に天保山の燈籠台、右舷のすぐ前に安治川屋敷の水見番所。
「おおウイーッ」
そこから漕ぎだす小舟があった。
「止まれーッ。その舟待てーッ」
小舟の上には三ツの人影。
止まれ止まれと声を嗄らしているのは旅川周馬、指さして立っているのがお十夜孫兵衛、櫓を撓わせて烏羽玉の闇を切っている者は天堂一角。時々サッとその影を白くかするのは波飛沫だ。親船のほうでは水夫頭の松兵衛、みよしに立って川口の水路を睨んでいたが、