Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
かたがた慰労という意味で、三位卿、酒樽の鏡を抜かして、一同の労を多とし、自身も敷物もせず縁先へ座をかまえた。
庭には、二ヵ所の篝火がドカドカ燃え、そこに真ッ赤なつづらが二ツ、暑い覆面を解いた原士、あぐらを組んでグルリと居流れ、杯を廻して、景気のいい歓声を湧かせた。
有村は愉快だった。
血の匂いを嗅いだ後の酒は、一種の湿気ばらい、自分も冷酒の杯を取って、
「まだ多少は、息の音が通っているかも知れぬ。それ、中のふたりを引きずりだせ」
と、命じた。
いい気持でもありいい機嫌だ。
大勢の中から、三、四人の原士が立った。
小柄を抜いて麻縄をプツプツ断り、錠前を抉ったが容易にはがれないので、石を持ってきて滅茶滅茶にぶちこわした。
たちまちそこに隙ができた。
気転をきかせた一人、弓の折れを噛ませて、ミリッ、ミリッと、生木を裂くようにコジ上げた。
「よし」
といって一方のつづらも、同じような手段でコジ開けると、縁の上から有村、
「これ、もう少し、その篝火を」
と、伸びあがって手を振った。
「はっ」
と、啓之助が縁を下りたのを見て、原士の中にまぎれていた一角もそこへ出て、篝火の鉄脚を五、六尺ほどつづらの側へズリ寄せる。