Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
疾風という勢いであった。
なにせよ、三味、笛、太鼓の囃子、鹿の子や赤い布や笠や手拭が渦巻く町を走っていた。
悪魔そのままな形相をして!
そして、仮の住居、住吉島の屋敷へ飛んで帰った。
門が開かない。
されば周馬と一緒にここを出た時は、召使のない屋敷なので、表門は閂をおろし、裏門から出たのである。当然、開かない筈。
だが、この際、裏門へ廻ってゆくのも面倒と、見越しへ手をのばしてヒラリと跳ね越え、いきなり案じられる一間の外へ駈けて行った。
と――雨戸が一枚はずれている。
三位卿帰ったらしい様子もなし、下男も門番もいないこの家に、先に入ったものがあるとすれば、それは、周馬以外に思いあたる人間はない。
だのに? ――かれが塀を越えると一緒に、その、はずれている雨戸の内から、風のように出ていったのは、ふたりの虚無僧。
たしかに、天蓋、わらじ、鼠木綿の対の姿――。
「やッ? ……」
それは孫兵衛の危惧を五里霧中にさせた。かれはそこに周馬が家探ししている影を、何より心配にして駆け戻ってきた。――だのに、そこから風のごとく消え去ったのは虚無僧のふたり連れ。
「はてな? ……」