Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「なんといっても、きゃつは原士を自由に動かす権力家、殿のお怒りもなみではないが、目下の場合に内部から騒乱が起こってはならぬと、ひとまず川島へ蟄居を命じ、それより先に、弦之丞めをという手配になった。そこで、わしはこれから岡崎の船関へいそごうと思う」

「ウウム、なんてえ凶い晩だろう。おまけに、まだこっちにも大変なことが起こっていますぜ」

「なに、この上にも、一大事があるッ?」

「周馬のやつが寝返りをうって、この孫兵衛の手もとから、世阿弥が、書き残した秘帖をさらって逃げたんで」

「秘帖? ……」

「法帖形の半面に、鳴門水陣の図がひいてあって、そこへ」

「あ! それは剣山で、わしがいつか落したものだ」

「その余白へいちめんの細字、血汐で書いた隠密の暗号文字。そいつをさらって周馬のやつ、たッた今、風を食らって逃げだしやがった」

「オオ、それも江戸へやっては大変だ」

有村は落馬しそうな目まいを感じながら、拳でこめかみを打っていた。

「察するに、世阿弥の血書は、かれが半生に知り得た阿波の秘密全部であろう。それが幕府の手へ入っては、もう万事休すとせねばならぬ。壮図の覆滅はもちろん、一味堂上の人々、盟約のある諸侯、みな断絶か自滅か、アア、それ以外にえらぶ道はない」