Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「待たねえか、そこへゆく物乞い」

「ヘエ、私のことですか」

先を気にしながら立ち止まった。

「そうよ、合力してやろうと思って、せっかく人が呼んでいるのに、なんですぐに待たねえんだ」

「ありがとうぞんじます……ですが」

「ですが、なんだ」

「少し、先を急いでいますので」

「ふふん……」お菰の肩を叩いて冷やかすように、

「よしねえ、今日は、急いだところでムダだろう」

「? ……」

「それよりは、怪我のねえところで、成行きを見ていねえ、悪いことはいわねえから」

「やッ」啓之助は初めて気がついて、

「てめえは万吉だなッ」

と、胸板を突いてくるのを、

「何をしやがる」

と、十手でその手を叩きつけた。

啓之助は驚いて前へ駆けた。しかし、二、三間ゆくといつのまにか体についていた捕縄に引かれて反動的にぶっ仆れる。

グルグル巻きに縛りあげて、万吉は啓之助を藪の中へ抱え込んだ。首のない石地蔵が仆れてあった。そいつを抱かせてもうひと巻き縄をかけ、ヒラリと、藪から並木へ戻った。

「オオ」

あなたを見ると、周馬の姿はもう遠い……。

江戸に限りのない栄達を夢み、お千絵に思いの遂げられるのを夢みして、旅川周馬の足は軽い!